2024年にスタートした新NISA(少額投資非課税制度)は、非課税投資枠が大幅に拡大され、年間360万円までの投資が非課税となります。今回は、この非課税枠を効率的に使い切る方法と、特定口座から新NISAに乗り換える際のメリットとデメリットについて解説します。
新NISAでの年間非課税投資枠が360万円に拡大
新NISAの最も注目すべき変更点は、年間の非課税投資枠が大幅に拡大したことです。
旧NISAでは、一般NISAで120万円、つみたてNISAで40万円が非課税枠として設定されていましたが、新NISAではこれが合計360万円に引き上げられました。具体的には、以下の2つの投資枠に分けられます:
- 成長投資枠:年間240万円
- つみたて投資枠:年間120万円
また、非課税運用の期間は無期限となり、売却しない限り非課税での運用を継続できます。
年間360万円の非課税投資枠を使い切れる人は少数派
非課税枠の拡大は歓迎される一方、実際にこの360万円の投資枠を使い切れる人は限られています。楽天DI(読者アンケート調査)によると、360万円を使い切る予定の投資家は3割以下でした。
給与からの投資のみで年間360万円を拠出するのは難しいため、多くの人が非課税枠を残してしまう可能性があります。
非課税枠を使い切る方法
給与収入以外にも、新NISAの非課税枠を活用するために使用できる資金があります。アンケート結果では、以下のような資金が投資に活用されることが分かっています:
- 給与収入:29.4%
- 特定口座で保有する投資商品の売却代金:26.8%
- 預貯金:46.4%
特定口座にある投資商品を売却し、その代金を新NISAで再投資する方法や、預貯金を活用することで、年360万円の投資が可能になります。
特定口座から新NISAへの乗り換え:メリットとデメリット
特定口座で保有している株式や投資信託を新NISAに乗り換えることで、課税を避けることができます。ただし、メリットだけでなくデメリットもあるため、慎重に検討する必要があります。
1. メリット
- 課税を回避
特定口座での運用では、売却時に利益に対して**20.315%**の税金がかかります。しかし、非課税枠に移行することで、将来的に発生する利益に対して課税されることを避けられます。 - 非課税の長期運用
新NISAでは非課税期間が無期限です。そのため、特定口座で保有する銘柄を新NISAに乗り換えることで、将来の利益を非課税で無期限に運用できます。
2. デメリット
- 売却益に対する税金
特定口座で保有している銘柄を売却すると、その売却益に対して税金が発生します。評価益が大きい銘柄を売却する場合、この税金が大きなデメリットとなります。 - 複利効果の減少
税金が発生することで、複利効果を長期的に享受するチャンスが減少する可能性があります。利益確定売りを避け、非課税枠を使い切るよりも、課税を後回しにして複利での成長を目指す方が有利な場合もあります。
乗り換えを避けた方が良いケース
特定口座で保有している株式が短期的に急騰している場合、新NISAに乗り換えない方が良いこともあります。急騰した銘柄を売却してしまうと、利益確定の税金が大きくなり、結果的に運用効率が低下する可能性があります。
【短期急騰する株価の例】
- 株価が短期間で急騰し、今後の値動きが不安定な場合
- 将来的にさらに利益を伸ばす可能性が高い銘柄の場合
このような銘柄は、少しずつ利益確定をして売却するだけで良く、急いで新NISAに乗り換える必要はありません。
まとめ:新NISAで非課税投資枠を最大限活用するための戦略
新NISAでは、年間360万円という大きな非課税枠を活用できるようになりましたが、全ての人がこの枠を使い切るわけではありません。給与収入だけでなく、特定口座の保有資産や預貯金を活用することで、この枠を最大限に活用できます。
しかし、特定口座から新NISAへ乗り換える際には、メリットとデメリットを慎重に検討し、税金の影響や運用効率を考慮する必要があります。特に、短期的に急騰した銘柄に対しては、税金負担が大きくなる可能性があるため、乗り換えを避けた方が良い場合もあります。
新NISAの非課税枠を有効に活用し、長期的な資産運用に向けた最適な戦略を立てることが重要です。
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