米FOMC前に確認したいポイントを整理：景気と政治に揺れる米国株の行方

来週の9月17日（火）～18日（水）に開催されるFOMC（米連邦公開市場委員会）は、9月相場の一つの山場を迎える重要なイベントとなります。特に、米国の景気動向や政治的な要因が株式市場にどのような影響を与えるかが注目されています。

この記事では、米国株式市場がFOMCを前にどのように動いているか、また、市場が注目する重要な経済指標を基に、FOMC前に確認しておきたいポイントを整理します。

1. 先週の米雇用統計と今週の米CPIから読み取れるもの

まずは、先週発表された米8月雇用統計について確認しましょう。

非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったが、失業率は市場予想通りであり、**平均時給（前年同月比）**も予想を上回る結果となりました。
これを受けた米国株市場では、主要株価指数がそろって下落。ダウ工業株30種平均は前日比1.0％安、S&P500種指数は同1.7％安、ナスダック総合指数は同2.5％安と反応しました。

ただし、雇用統計の結果自体は「悪くはない」と評価され、当初は株価が上昇しました。しかし、時間の経過とともに、景気後退懸念が再び意識され、下落に転じました。このことから、米国経済の回復力が堅調である一方で、景気の悪化を完全に払拭できるほどの強さではないという複雑な状況が伺えます。

続いて、今週発表された**米8月CPI（消費者物価指数）**に目を向けます。

8月CPIは前年同月比で2.5％上昇、前月比で0.2％上昇しました。また、コア指数（食品とエネルギーを除く）は前年同月比で3.2％上昇、前月比では0.3％上昇となりました。

CPIの結果は市場予想通りであり、特に大きなサプライズはありませんでしたが、これに対して米国株市場は一時的に下落。NYダウは700ドル安まで下落し、節目の4万ドル割れを記録しました。しかし、その後は持ち直し、最終的にはプラスに転じました。

この一連の動きから、「来週のFOMCでは一部で0.5％の利下げ拡大を期待している」という市場の心理が読み取れます。

2. FOMCでの焦点：追加利下げ期待と景気不安

今回のFOMCにおいて注目すべきポイントは次の3点です。

利下げ幅が0.25％か、0.5％か？
仮に0.25％の利下げにとどまった場合、次回以降の利下げ姿勢はどうか？
FRB（米連邦準備制度理事会）の景気認識はどのようなものか？

まず、利下げ幅については、現在の米経済指標を踏まえると0.25％の利下げが優勢との見方が多いです。景気が「意外としっかりしている派」と「思ったより悪化している派」で割れている状況で、0.25％の利下げが最適な選択肢かもしれません。

ただし、9月17日（火）に発表される米8月小売売上高の結果が予想以上に悪化すれば、0.5％の利下げに対する期待が再び高まる可能性もあります。

3. 米8月小売売上高の重要性

米8月小売売上高は、FOMC初日となる9月17日に発表予定です。過去1年ほどは小売売上高が伸び悩んでいる状況が続いていますが、今回の結果が悪化した場合、0.5％の利下げ期待が一段と強まるかもしれません。

指標	結果予想	前回実績
米8月小売売上高	-0.2％	+1.0％

この小売売上高は、米国の消費者行動を測る重要な指標であり、米国経済全体の健全性を評価する上で非常に重要です。特に、消費の落ち込みが顕著になれば、FRBがより積極的な金融緩和に踏み切る可能性が高まります。

4. 米フェデックス決算が示唆する景気動向

9月19日（木）には、**フェデックス（FDX）**の決算が予定されています。物流業界は、景気の先行指標とされることが多く、フェデックスの決算結果は米経済の現状を知る上で注目されるでしょう。

景気が悪化すると「ヒト・モノ・カネ」の流れが滞るため、物流企業のパフォーマンスは景気を反映しやすいです。フェデックスの業績が悪化していれば、米経済全体に対する不安がさらに強まる可能性があります。

結論：米国株とFOMCの行方

来週のFOMCは、米国株式市場にとって重要な節目となるでしょう。利下げ幅が**0.25％**にとどまる場合、景気後退懸念が依然として根強いことを示す一方、次回以降の利下げに対する期待感も残されます。逆に、0.5％の利下げが実施されると、より深刻な景気悪化を反映した判断として、市場は大きく反応する可能性があります。

また、米8月小売売上高やフェデックスの決算など、FOMC直前の重要な指標やイベントも市場の動向に影響を与えるため、これらのデータを慎重に分析することが求められます。